快適リフォームを成功させるために
リフォームは建替えせずに住み続けることが前提です。一度リフォームしたらそれで終わりというわけではありません。少しずつ家をリフォームしながら、住まいとよい関係を継続するため、目先のことにとらわれず、計画的なリフォームを行いましょう。
大事な点
1, あなたの暮らし方や住まいに対する考え方を整理してみましょう。
2, 今の住まいがどんな状況か、何が不足しているのかを拾い出しましょう。
3, どこをどう直したいのかを、家族みんなで考えましょう。
4, 住まいを強くし、長持ちさせるようなリフォームをしましょう。
5, 生活の楽しさや豊かさを高めるようなリフォームとしましょう。
リフォームを成功させるうえで-番大切なことは、リフォームの目的をはっきりさせることです。目的をはっきりさせるため、家族みんなで話し合ってみましょう。
住まいの不満点・問題点を1つずつ拾い出しましょう。
生活のどんな部分を大切にしたいか考えてみましょう。
10年後の生活を想像してみましょう。
家族全員の意見を聞き、意志を統一しましょう。
改善したい順に優先順位をつけましょう。
リフォームではどんなことができるの?
リフォームはちょっとした工夫から全面的な改善まで様々な方法があり、リフォームする箇所についても様々な部分が考えられます。
改築・増築 | ◎建物の一部を取り壊し、新たに建築物の建て直しを行う ◎新たに床面積を増加する |
屋根・外装 | ◎屋根のふき替え(屋根の塗装、無落雪屋根への変更) ◎外装の塗り替え(サイディングやモルタルへの変更) |
キッチン | ◎流し台の高さの変更や新しいシステムキッチンの導入など台所設備の改善 ◎対面キッチンなど間取りの変更 |
間取り変更 | ◎洋間を日本間へ ◎2部屋を1部屋になど ◎水まわり全体の変更による加齢・高齢者対応 |
冷暖房設備 | ◎床暖房、エアコン、クーラー、セントラルヒーティング |
断熱改修 | ◎高断熱化、高気密化 |
玄関・廊下・階段 | ◎手すりの設置、段差解消など加齢・高齢者対応 |
基礎・構造 | ◎基礎・構造の補強 |
内装 | ◎壁紙やカーペット、照明器具の取り替え ◎床をフローリングにする ◎収納スペースの改造・設置など |
浴室 | ◎ユニットバスへの変更やタイルの張り替えなど浴室設備の取り替え ◎手すりの設置、落とし込み浴槽などの加齢・高齢者対応 |
トイレ | ◎便器の変更や暖房の設置など便所設備の改善 ◎手すりの設置、段差解消など加齢・高齢者対応 |
窓・扉 | ◎窓・扉などの建具の取り替え ◎出窓を設ける |
エクステリア | ◎駐車場に屋根をつける等の駐車スペースの改造・設置 ◎花壇、菜園などの改造・設置 ◎融雪設備の設置 |
高齢者対応のリフォーム
高齢化にともなう身体機能の低下などによって、誰もが住まいへの不満や不安をもつようになります。高齢者対応の住まいとは、そういった不満・不安を持つことなく、歳をとってもいつまでも安心して、安全・快適に日常生活を続けられる環境のことです。
高齢者対応といっても、必ずしも大がかりで金額がかさむリフォームばかりではありません。「屋外から住宅内ヘスムーズに入ることができる」、「日常の生活空間に段差がない」、「要所に姿勢保持を助ける手すりがある」「移動する空間は適切な幅員である」、「使い勝手に配慮した機器類がある」などが整えられていれば、基礎的な要件は十分といえます。住まい手の身体機能の程度や生活習慣に対応したリフォーム内容は、一般論では解説が難しい部分です。 身体機能の程度、生活習慣、住宅の現況、家族の介助の有無、経済事情のみならず、福祉用具・介護サービスなどの利用も視野に入れながら、総合的な検討を進めて、適切なリフォーム内容を設定する必要があります。
リフォームの情報収集や内容の検討段階で、建築の専門家のみならず、必要に応じて、福祉関係の相談機関(各市町村の在宅介護支援センター等)に相談するなど適切に対応することが望ましいです。ここでは、高齢者対応として最も一般的な「手すりの取り付け」に関する代表的な留意点について解説します。
手すりの設置
移動の経路や身体の上下移動の動作をともなう場所(便所・浴室、玄関など)に手すりを付けることは、身体機能が低下しても移動を保証するためには重要です。手すりの高さは利用者の腰骨の付け根(大転子骨)が標準です。複数の人が利用する時には、750mmを目安として調整します。断面形状は直径22mmか35mmの円形、40mmを超えてはいけません。手すりの端部は壁面または下向きに折り曲げます。便所・浴室・洗面所、玄関など身体を上下させる場所に、縦手すりを付けるとより効果的です。
断熱性の改善
住宅の断熱化・気密化は、新築住宅だけでなく既存住宅にとっても重要です。既存住宅にも新築同様の断熱性能が必要ですが、施工上の制約などで必要性能を全て満足させるのが難しいのが現実です。 断熱の基本は外気に接する屋根・天井、壁、床に断熱材を施エし、それを建物全体で切れ目なく連続させて、生活空間全体を包み込むことです。住宅の気密化のためには、天井・壁・床などの断熱部分の気密化を図る一方で天井と壁、壁と床などそれぞれの取り合い部分で隙間のない納まりとします。 窓ではガラスの多重化、二重サッシや復層ガラスなどで断熱化を図ります。気密の方法としては、断熱材の室内側に防湿気密シート(厚さ0.1mm以上のポリエチレンフィルムなど)を連続して張ります。防湿気密シートのフィルムの継ぎ目は、適切な重ねしろを取り、慎重に施工する必要があります(少しでも隙間があると断熱の効果が低くなります)。
断熱性の改善例